暮らしをMERRYにするコラム
オーガニック住宅
オーガニック住宅 / 2016年4月3日

住宅コラム35 「カネを出せば買える家」じゃない

無垢の木のチカラ

 

 この心地良さには木の香り成分も手伝っている。一階の腰板にはヒバを使い、二階にはスギを使った。もちろんくりこま木材の防腐剤・防カビ材を使わない無垢の木で、低温乾燥させて精油分を残し、木の精油分に加えて虫が嫌がるくんえん乾燥を施している。それが板倉造りしたすべての木材に使わ れているのだ。スギ・ヒノキ・ヒバの精油分には面白い特徴がある。睡眠を深くして睡眠効率を高め、三日で室内のダニを殺し、集中力を高め…と、良いことばかりだ。ところがこの精油分は高温乾燥では失われる。困ったことに、普通の木材は高温乾燥させて市場に流通させるのだ。くりこま木材がそ うした工程に変えたとき、普通の木材の流通に乗せられなくなって苦労したと教えてくれた。

 

 

 

森の匂い

 

 でも人が訪ねてくると「すごくいい香りがしますね」と言われる。でもわずかな期間でも住んでしまうと、全く気付かなくなる。

「そんなにしますか」

「これはヒバの匂いかしら、森の中に入ったみたいなとてもいい匂いがする」と言われる。
テレビでダニを吸い集める掃除機のコマーシャルをしている。ハウスダストアレルギーの原因になると。ならば最初から無垢材のスギを使って、発生させなければいいのに。

 

木の家で過ごして思うこと

 

 床の木材に蜜ロウ(ミツバチの巣から作られる)系の安全なワックスを塗った。カレースプーン一杯で一畳程度塗れるというのに、送られてきたワッ クスが4kg入り二箱もあったので、ついつい塗り過ぎた。ペタペタとスリッパの裏が貼りつくようになり、足は冷たくなり、靴下はテカテカに光るよ うになってしまった。そこで仕方なくせっせと塗り過ぎたワックスを剥すことになった。

 剥すために磨いていると、どうしてもシミが気にかかる。シミまで落としながら磨いていると、木の個性が見えてくる。同じスギの木材の色と言って も様々に異なるのだ。大きく、外側の白いシラタ部分と内側の赤身と呼ばれる色の濃い部分、さらに水分の多いところで育ったであろう黒芯、その間に 様々な色彩のグラデーションがある。床に這いつくばって磨いていると、木が生えていた環境のことを想像してしまう。

 そうして育った木が、長い旅をしてここに使われている。この家で、育つまでにかかった時間よりもはるかに長く使ってやりたい。家は「カネを出せ ば買えるものではない」と思うのだ。

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